第3回 税務調査でよくある指摘事項と調査後の流れ・日頃の対策

はじめに
前回は、税務調査当日の流れや調査官が確認するポイント、事前に準備しておきたい書類についてご紹介しました。
今回は、税務調査で実際によく指摘される事項や、調査終了後の流れ、修正申告となった場合に発生する可能性がある加算税・延滞税、そして日頃からできる対策について解説します。
税務調査は「指摘を受けるため」のものではなく、適正な申告が行われているかを確認するための手続きです。日頃から適切な経理処理を行うことが、最も重要な対策となります。
税務調査でよくある指摘事項
税務調査では、会社ごとに確認内容は異なりますが、次のような事項は比較的指摘を受けやすいポイントです。
| 指摘事項 | 内容 |
| 売上の計上漏れ | 売上の未計上や計上時期の誤り |
| 経費の計上誤り | 私的支出や事業に関係のない支出の計上 |
| 領収書・請求書の保存不足 | 経費の根拠資料が保存されていない |
| 在庫の計上誤り | 棚卸数量や期末在庫の誤り |
| 役員や従業員への支払い | 給与・外注費・福利厚生費などの処理誤り |
| 消費税の処理 | 課税・非課税区分や仕入税額控除の誤り |
これらは必ず指摘されるわけではありませんが、日頃から確認しておきたいポイントです。
領収書がない場合はどうなる?
経費として計上した支出について、領収書や請求書がない場合でも、直ちに経費として認められなくなるとは限りません。
例えば、
- クレジットカードの利用明細
- 振込記録
- 契約書
- メールのやり取り
- 出金伝票
などにより、実際に事業のために支出したことが客観的に確認できれば、経費として認められる場合があります。
一方で、支出の内容や事業との関連性を説明できない場合には、経費として認められない可能性があります。
そのため、領収書や請求書は日頃から整理・保存しておくことが大切です。
税務調査後の流れ
税務調査が終了すると、調査結果について税務署から説明があります。
結果は主に次の3つに分かれます。
| 結果 | 内容 |
| 申告是認 | 申告内容に問題がなく、そのまま終了します。 |
| 修正申告 | 納税者が誤りを認め、自ら修正申告を行います。 |
| 更正 | 修正申告に応じない場合などに、税務署が税額を決定・訂正します。 |
問題がなかった場合は「申告是認」となり、「申告是認通知書」が送付されます。
延滞税・加算税
税務調査で申告漏れなどが判明した場合には、本来納めるべき税金に加えて、延滞税や加算税が課されることがあります。
| 税目 | 内容 | 税率(目安)※令和8年時点 |
| 延滞税 | 納付が遅れた場合に課される税金 | 年2.8%~9.1% |
| 過少申告加算税 | 税額を少なく申告していた場合 | 10~15% |
| 無申告加算税 | 期限までに申告しなかった場合 | 15~30% |
| 重加算税 | 仮装・隠蔽があった場合 | 35~50% |
※延滞税の割合は毎年見直されるため、上記は令和8年時点の税率です。
加算税が課されるかどうかは、申告内容や修正の状況などによって異なります。
日頃からできる税務調査対策
税務調査に備えるためには、特別なことをする必要はありません。
日頃から適切な経理処理を継続することが最も重要です。
次のような点を意識しましょう。
- 帳簿はできるだけ早めに記帳する
- 請求書・領収書・契約書を整理して保管する
- 売上や経費の計上時期を正しく処理する
- 現金取引は内容が分かるように記録する
- 棚卸や在庫管理を適切に行う
- 不明な処理は自己判断せず税理士へ相談する
また、税務調査は調査当日の対応だけでなく、日々の経理業務の積み重ねが結果に大きく影響します。
税務調査は過度に心配する必要はありません
税務調査という言葉だけで不安になる方も多いですが、多くの税務調査は事前連絡のうえで実施され、適正な申告が行われているかを確認するためのものです。
調査官から質問を受けても、事実に基づいて落ち着いて説明し、必要に応じて税理士と相談しながら対応すれば問題ありません。
日頃から帳簿や証憑書類を適切に管理している会社であれば、過度に心配する必要はないでしょう。
まとめ
税務調査では、売上の計上漏れや経費の内容、証憑書類の保存状況などが重点的に確認されます。
万が一申告誤りがあった場合には、修正申告や加算税・延滞税が発生することがありますが、適正な申告であれば「申告是認」となり、「申告是認通知書」が送付されます。
税務調査は過度に恐れるものではなく、日頃から適切な経理処理を行うことが最も重要です。
税務調査シリーズ(全3回)
第1回
- 税務調査とは?
- 調査対象になりやすい会社
- 調査時期
- 保存期間
- 日頃の準備
第2回
- 税務調査当日の流れ
- 調査官が確認するポイント
- 準備しておきたい書類
- 税理士立会いのメリット
第3回
- よくある指摘事項
- 調査後の流れ
- 延滞税・加算税
- 日頃からできる対策
3回にわたり、税務調査についてご紹介しました。
税務調査は、適正な申告と日々の経理処理を行っていれば、必要以上に恐れるものではありません。不明な点や不安な点がある場合は、早めに顧問税理士へ相談し、日頃から適切な準備を進めておくことが大切です。
