第1回 税務調査とは?いつ来る?対象になりやすい会社と事前に知っておきたいポイント

はじめに
「税務調査」と聞くと、「何か悪いことをした会社だけが受けるもの」「突然税務署がやって来る」といったイメージを持たれる方も少なくありません。
しかし、税務調査は申告内容が適正であるかを確認するための手続きであり、適正に申告を行っている会社や個人事業主であっても対象となることがあります。
今回は、税務調査の基本的な仕組みや調査が行われる時期、調査対象となりやすいケース、日頃から準備しておきたいことについて解説します。
税務調査とは
税務調査とは、法人税・所得税・消費税などの申告内容について、税務署が帳簿や請求書、領収書などを確認し、適正な申告が行われているかを確認する調査です。
税務調査には大きく分けて次の2種類があります。
| 種類 | 内容 |
| 任意調査 | 一般的な税務調査。事前に連絡があり、日程を調整して実施されます。 |
| 強制調査 | 悪質な脱税などが疑われる場合に、裁判所の令状に基づいて実施されます。 |
通常、一般の会社や個人事業主が受ける税務調査は任意調査です。
税務調査はいつ来る?
「会社を設立して何年くらいで税務調査が来ますか?」という質問をよくいただきます。
法律で「○年目に必ず調査を行う」と決まっているわけではありませんが、一般的には設立後3~5年程度で初めて税務調査が実施されるケースが多く見られます。
その後も数年ごとに調査が行われることがありますが、業種や会社の規模、申告内容などによって異なります。
また、売上が急増した場合や多額の消費税還付を受けている場合などは、比較的早い時期に調査対象となることもあります。
調査対象となりやすい会社とは?
税務署では、さまざまな情報をもとに調査対象を選定しています。
次のようなケースでは、申告内容を詳しく確認される可能性があります。
| 主なケース | 内容 |
| 売上・利益が大きく変動している | 前年と比べて大幅な増減がある |
| 現金取引が多い | 売上や経費を現金で処理することが多い |
| 消費税の還付申告をしている | 設備投資などにより還付を受けている |
| 同業他社と利益率が大きく異なる | 粗利益率や利益率に大きな差がある |
| 過去に申告誤りがある | 修正申告や税務調査で指摘を受けたことがある |
これらに該当するからといって、必ず税務調査が行われるわけではありませんが、調査対象となる要因の一つになります。
何年前まで調査されるの?
税務調査では、通常過去3年程度を中心に確認されることが多いとされています。
ただし、状況によって確認される期間は異なります。
| ケース | 調査対象期間の目安 |
| 一般的な税務調査 | 約3年 |
| 申告漏れなどが疑われる場合 | 約5年 |
| 仮装・隠蔽など悪質な場合 | 最大7年 |
そのため、「古い資料だから不要」と考えず、帳簿や証憑書類は適切に保管しておくことが重要です。
帳簿や書類の保存期間
税務調査に備えるためにも、帳簿や書類の保存期間を理解しておきましょう。
| 書類 | 保存期間 |
| 帳簿・請求書・領収書・契約書など | 原則7年間 |
| 青色申告法人で繰越欠損金がある事業年度の帳簿書類 | 10年間 |
請求書や領収書だけでなく、総勘定元帳や仕訳帳、現金出納帳、契約書、棚卸表なども保存対象となります。
税務調査は断ることができる?
任意調査であっても、正当な理由なく税務調査そのものを拒否することはできません。
一方で、業務の都合などにより日程変更を相談することは可能です。
税務署から連絡があった場合は、まず顧問税理士へ相談し、必要書類や当日の流れを確認すると安心です。
日頃から準備しておきたいこと
税務調査は、調査当日に慌てて準備するものではありません。
日頃から次のような点を心掛けることで、スムーズに対応できます。
- 帳簿はできるだけこまめに記帳する
- 請求書・領収書・契約書を整理して保管する
- 現金取引は内容が分かるよう記録を残す
- 不明な取引は自己判断せず税理士へ相談する
- 決算前に帳簿内容を確認する
税務調査の一般的な流れ
税務署から事前連絡
↓
日程調整
↓
税務調査(通常1~2日)
↓
調査結果の説明
↓
必要に応じて修正申告・追加納税
まとめ
税務調査は、特別な会社だけが受けるものではなく、適正な申告が行われているかを確認するための手続きです。
日頃から帳簿や証憑書類を適切に整理・保存し、正確な経理処理を行っていれば、必要以上に心配する必要はありません。
税務調査への一番の備えは、日々の適正な会計処理と期限内申告です。
次回は、税務調査当日の流れや、調査官が確認するポイント、事前に準備しておきたい書類について詳しくご紹介します。
